真摯に耳を傾けてくれた。
届いたのは、熱い理念を盛りこんだ基幹人事制度。

株式会社スペディーレ

代表取締役の恵守浩昭様に語っていただきました。

代表取締役の恵守浩昭様に語っていただきました。

人事評価制度コンサルティング

きっかけは理念と現実のギャップ
信頼を発信するはずが……

 ODM、OEM衣料品の企画、生産をしています。現在、アパレルの国内生産はわずか2%ほど。日本の技術を守り、よりよい製品を提供するためにもメイドインジャパンにこだわったものづくりをしています。社名の「SPEDIRE」はイタリア語で発信・発送を意味し、企業理念にも

「私たちは、規律・誠実・思いやりをモットーとし信頼を発信します」

「お客様のご要望を、的確かつスピーディーに具現化し革新的なアイデア・デザイン・品質・情報を発信します」と明記しています。

 お客様と国内生産工場との橋渡し役となり、お客様が求めるものを適正価格でご提供できるプロ集団でありたいと努力してきました。おかげさまで創業以来、事業は順調でコンサルティングなど当社には関係ないものと思ってきました。

 ところが、社員が15名を超えた頃でしょうか。新規取引先との名刺交換の場でショックな出来事がありました。若い社員が私より先に相手方の社長へ名刺を差し出しました。後で「あのね、社長同士が先なんだよ」と指摘すると「教わっていないから知りませんでした」と。常識だと思っていたのに、そうではなかったんですね。さらに当社を訪れたデザイナーさんに「御社はお客さんが来ても誰も挨拶しないよね」と指摘されてしまいました。理念が伝わっていないどころか、挨拶という社会人としてのイロハのイができていない会社になっていたんです。

※日本繊維輸入組合『日本のアパレル市場と輸入品概況2022』

ワークショップ形式の研修でマナーへの意識づけに成功

 社員に対する私の対応も至らなかったと思います。会社や社員の成長を願ってのことですが、短気なものですから社員のミスを見つけてはすぐに「できてないぞ!」と、

その都度指導していましたが、なかなか理解してもらえず、萎縮するだけでした。プレッシャーになっていたのか、報告・連絡・相談、いわゆる「報・連・相」も途絶えがちになってしまい、日々ストレスを感じていました。

 そんなとき、きらぼしコンサルティングさんと名刺交換する機会がありました。きらぼし銀行とは古くから取引があり、その縁で訪問されたのだと思います。

 

試しに相談したところマナー研修を提案されました。

 正直、当時は効果に疑問があり、忙しい作業の手を止めてまで勉強会なんてと、ためらいがあったものの、やってみると杞憂でしたね。講師の先生は当社の理念を理解したうえで社員に説明してくれます。ワークショップ形式でのディスカッションも毎月開催。社員の自発的な意見を引き出しながら、それぞれの考え方や行動を3年かけて改善に導いてくれました。

 報・連・相についても、社長の自分が口酸っぱく言うよりよっぽど効果がありました。ミスやトラブルが起きても、個人ではなくチームで共有して解決に動くのだと私も含めて教えていただきました。「みんなで学ぶことは必要なんだ」「もっと早くやればよかった」と心から思いましたよ。

曖昧な評価基準や職責を明文化する必要性

 

 そうなると、その先に進みたくなるものです。経営理念を反映した人事制度について考えはじめました。利益に対する貢献度と立場ごとの役割に対する評価を自分なりにしてきたつもりでしたが、明文化された基準がなく、さまざまな誤解を生じていました。たとえば売上に貢献していた社員をマネージャーに登用しても管理職としては機能しませんでした。営業職は数字さえ上がれば評価されると思われ、チームとしての意識が希薄だったようです。じゃあ他の部署はどうかといえば、これも明確におらず、評価の根底にある経営理念や戦略を口頭で説明してもその場かぎりで定着しません。明らかに文章化したものが必要でした。働きがいのある会社にしたい。しかしどうすればいいのか……。

 そうやって悶々と悩んでいたことを愚痴混じりにきらぼしコンサルティングさんに相談したんです。するとヒアリングを重ね、真剣に耳を傾けてくれました。「社長のお話は終始ぶれていない」とも言ってもらえて心強かったですね。「社長の想いを社員さんにどうやって伝えていけばいいのか、一緒に考えていきましょう」という温かい言葉とともに支援がスタートしました。

キャリアアップの要件が全員に伝わる適正な評価制度へ

 一般社員へのヒアリングや顧問社労士との打ち合わせなど、いくつものやりとりを経て最終的に上がってきたのは、等級制度(キャリアパス) 、評価制度、報酬制度を3本柱にした新しい基幹人事制度です。社員の職位や部署に応じて「どのような姿であってほしいか」「どんなことを意識しながら働いてほしいか」を明文化し、「適正な評価」「社員の成長」「チームの意識」をめざします。

 等級制度(キャリアパス)の導入にあたっては、4段階の等級を設定しました。各等級において求めることを明記し、昇格要件を明確にしたことで、自身のキャリアパスについて社員自らがわかるようにしています。中堅以上の社員には自分の働き方を見直してもらい、若手にはこの会社での将来像を示します。

 人事評価は本人→上長→役員の3ステップで行い、その結果をもとに、細かく点数化した要件に合わせて昇給・降給を実施します。自分の給料を上げたいときなにを頑張ればいいか、これを見れば一目瞭然です。マネージャークラスも評価者になるため部下の動向を責任を持ってキャッチせざるをえません。

 何度も修正をくりかえして、これらのロジックが冊子にまとまりました。社員全員に説明会も2度実施しました。ギリギリまでやりとりを続けたかいがあり、会社が大事にしているマナー、モラル、理念、役割がひとつひとつ明確になっていて、目標を持ちやすいと感じます。ステップアップしたいとき何度も読み返して、自分になにが足りていないか考えるようになると思います。評価基準に達している社員には月々の基本給を上げて報いることもできます。生活が安定すれば社員もよりメリットを実感できるでしょう。

想いに寄り添うコンサルに満足
次の成長も視野に

 最初はコンサルティングといわれても、アパレルのことわかるのかな、話通じるかなと疑問や不安がありましたが、ていねいにコミュニケーションを重ねて私の想いに寄り添ってくれました。おかげで業務負担の偏りや、社員自ら声をあげる難しさなどにも気づくことができました。コロナ禍があっても当社の業績がよかったのはみんなが頑張ってくれたおかげと改めて感謝の気持ちでいっぱいです。人によって相性はあるかもしれないけれど、きらぼしコンサルティングは、当社には合っていたと思います。うちの問題をしっかり理解していただいた。私は想いが強いとクールにはなれず、つい泥臭くなってしまう。そういう部分まで含めて意を汲んでもらったなあと満足しています。今、会社や社員の次なる成長のために、新規事業の立ち上げも視野に入れているところです。

担当コンサルタント(嶋岡、手塚)より

「評価を明確にして社員の基本給を上げたいんだという社長の言葉を意気に感じて取り組みました。賃金テーブルの見直しや移行期間の措置など幅広くサポートを行っています。経営理念の浸透にも人事制度は有効な手段です」

 

株式会社スペディーレ

設立:1998年3月30日

従業員数:21名

事業内容:

ODM、OEM衣料品の企画、生産業務(各アパレルへの素材提案、見本作り及び製品製造、パターンの供給)

取引支店:原宿支店

 

 

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