5代目の承継。
より強固な組織へと複数事業を再構築。

有隣運送株式会社

(左)代表取締役・澤幡 淳様、(右)経理部部長代理・中山 利典様

①お悩みと解決

 

 

創業から70年以上の歴史を誇る有隣運送株式会社。1952年に東京・築地市場の配送からスタートし、コンビニエンスストアの配送に先鞭をつけるなど、食品輸送に定評のある企業です。長い歩みの中でグループ企業4社6拠点へと発展していきました。
2022年、4代目の代表取締役が亡くなり、長男の澤幡淳様が事業を承継。複雑化した資本を整理しながら、より強固な組織へと再編を進めました。経理部で実務を担当された中山様とともに、スキーム構築までの1年間を振り返っていただきました。

4頭立ての馬車の手綱をどう握るか

−−2022年に事業承継が発生。なにかご準備をされていましたか。

澤幡社長:父は前年に米寿を迎えていましたから、父が保有する有隣運送の株式と不動産についてはメインバンクであるきらぼし銀行に確認しながら生前贈与の手続きを済ませていました。贈与税の納税資金もきらぼし銀行から借り入れを起こしました。このときは澤幡家の問題として、二次相続も視野に入れながら、長くおつきあいしている税理士の先生に相談しました。


−−承継後にきらぼしコンサルティングに依頼された理由は。

澤幡社長:50代の私が代表になり、次の事業承継まで時間があると思っていましたが、その頃はちょうどコロナ危機のさなか。自分の健康リスクをリアルに考えざるをえませんでした。もし万が一のことがあったら、私の一存でスピーディに経営判断できる体制が必要です。そうなると持ち合いしていたグループ企業の株式なども集約したいし、4社の責任の所在を社内外に明確に示すスキームが欠かせません。
とはいえ、うちは創業家ではなく、グループ各社は代表者が同じというだけで、それぞれが独立した会社でした。複雑な資本のあり方を再検討したくて、ちょっと抽象的ですが「4頭立ての馬車の手綱をどのように握ればうまく走らせられるか」といった相談をしました。

−−澤幡家だけでなく有隣グループ全体の問題として捉えなおしたことでプロのサポートを要請されたのですね。
②文章中お写真澤幡社長:その通りです。それはもう税理士や弁護士の仕事ではないし、相談できる相手はほぼ皆無ですから。きらぼしコンサルティングは、きらぼし銀行が把握している情報を下敷きに対応してもらえるので信頼感を持って内情を話せました。それに一般的なコンサルは既存のパッケージを提示してくることが多いのですが、こちらは私の意向をじっくりヒアリングするところから始めてくれました。

未経験の事業再編だからこそプロのサポートが活きる

−−その結果が「ホールディングス化」というご提案でした。

澤幡社長:はい。有隣運送が事業会社兼持株会社になりました。社長がオーナーで次代の経営母体も含めて判断できるしくみづくりを、会社の数字も個人の想いも理解したうえで示してくれました。今思えば父もそういうスタイルを目指したかったんでしょうね。おかげで名実ともにグループ企業になり、肩の荷がひとつ下りた気がします。

−−実行にあたって実務を進めたのが経理部でした。どんなご苦労がありましたか。

中山部長代理:膨大な資料の収集が大変でした。そもそも事業再編なんて何回もあることではなくて特殊な処理ですから、知識も経験もありません。最後は株の譲渡などの契約を締結して、会計処理までつなげていくわけですが、それらの具体的なノウハウもきらぼしコンサルティングの担当者から懇切にご指導いただきました。株価の算出など、あとで内訳を見てみると「ああ、こういうふうにやるんだな」と、プロの仕事を感じました。

−−初めての有償コンサルティング。率直な評価を教えてください。

澤幡社長:私にとっては合格点。私の意向をじっくり聴いて、冷静かつちょうどいい距離感で踏みこんでくれました。やっぱり1〜2時間の面談だけでは入りくんだ話はできないし、どこまで踏みこむか迷っていたらピントはずれな提案になったでしょうしね。きちんとしたキャッチボールができたと思います。
中小企業としてはメインバンクの後ろ盾がある安心感も大きい。もし私が同じような相談を受けたら「一度きらぼしの話を聴いてみたら?」と、紹介できますよ。

③文章中お写真中山部長代理:こちらに専門知識がなくてもすぐに助け舟を出してくれます。非常に助かりました。こうした処理に強い税理士法人がきらぼしグループのうしろに控えていたことも安心材料でした。大変な思いをしながらも、気がついたら完了していましたね。

次の資産承継を人手不足の対応策に

−−事業再編が一段落して、現在は二次相続のサポートが始まっているそうですね。先ほど一次相続は税理士の先生にというお話でしたが、二次相続はなぜきらぼしコンサルティングに?

澤幡社長:物流業界は「2024年問題※」に直面しています。人手不足を解消するには賃上げが不可欠ですから、その原資を確保しておきたい。母の資産のうち、会社由来で形成できたものが多分にあり、会社に還元できる方策を求めていました。
きらぼしグループには会社の再編で生まれた安心感から、「ここまで面倒見てよ」とお願いしました。まだいろいろ検討中ですが、相談しやすかったですよ。母が存命なうちに先手を打っておけば、いざ相続が発生しても落ち着いて対応できるでしょうし、つまらないトラブルも回避できるように思いますね。

−−事業や資産の承継に関するご相談が増えています。経験者として一言アドバイスをいただけますか

まずはどこに重心を置くのかを見出すことですね。資産を保全したいとか、肩書が必要だとか、業界を変えたいとか、いろいろな方向性があると思います。そこを考えておくと、次のステップについて、より的確なアドバイスをもらえるのではないでしょうか。

※2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制が適用され、輸送能力の不足など諸問題が懸念されています。

④集合写真(担当コメント)

担当コンサルタント(礒野・阿部)より

複雑な資産構成を細かく洗い出し、将来的な事業性をヒアリングしながらスキームをご提案しました。役員の方々にもお打ち合わせにご参加いただき、足並みを揃えて方向性を探れたことが奏功したと思います。付随する資産承継も含め、お客様のお困りごとに沿ったコンサルティングを提供してまいります。

 

 

有隣運送株式会社

設立:1952年1月

従業員数:127 名(グループ全体251名)

事業内容:

事業内容:運送業
取引支店:神田支店
http://www.yurin-g.co.jp

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