最近よく聞く「営業秘密」って? その管理の重要性について
ただいま特許庁よりきらぼしコンサルティングに出向中のコンサルタント、林達也による不定期連載。第一弾は中小企業にとっても身近なリスク、「営業秘密」について解説します。
「営業秘密」の漏洩は罰せられることも
<営業秘密の漏洩ルート>(複数回答あり)
1位:中途退職者(役員・正規社員)による漏洩 36.3%
2位:現職従業員等の誤操作・誤認等による漏洩 21.2%
3位:現職従業員等のルール不徹底による漏洩 19.5%
(出典) 企業における営業秘密管理に関する実態調査2020 IPA調査
この営業秘密侵害行為(不正競争行為)について、「不正競争防止法」違反になると、懲役刑が科されたり、差止請求や損害賠償請求の対象になります。
たとえば、企業の営業秘密をもって転職し、転職先でそれを利用した場合、転職した従業員の営業秘密侵害罪が認められれば、「10年以下の懲役又は2000万円(海外重課3000万円)以下の罰金(又はその両方)」が科せられます。
しかも、行為者だけでなく法人の関与が認められた場合、法人も一緒に罰せられることがあります「5億円(海外重課10億円)以下の罰金」。
「営業秘密」はどう守る?
このように、重い罰が科せられることもある「営業秘密」、実は皆さんからも縁遠い話ではありません。
皆さまの会社では「営業秘密」ちゃんと守れてますか?
ここでいう、「営業秘密」とはどういったものが該当するのかご存知でしょうか。
「そりゃ、会社の仕入れデータとか、開発している技術のデータのことだろ」
……それではまだ全然不十分なのです。
法律を基に話すと難しいので、かなりかいつまんで説明します。
営業秘密とは?
・秘密として管理している情報(秘密管理性)
・事業活動に有用な情報(有用性)
・公然と知られていない情報(非公知性)
の要件を満たす情報のことを指します。
ですので、逆に言えばこれらの要件を満たさないケース、たとえば
・会社の研究データがパスをかけずに共用フォルダに入っている
・展示会で来場者に話してしまった
・研究ノートにマル秘と書いてない
・就業規則に「業務上知りえた秘密は一切話してはならない」という一文しかない
といったケースでは、上記の3要件をすべて満たしているとは言えず、いざ情報漏洩が発生した際に、営業秘密として保護されないことがあります。
「営業秘密」とすべき情報を特定しよう
じゃあ、まず何から手を付ければよいのか?
営業秘密管理に関する第一歩としては、まず社内情報から秘密とすべき情報を特定することから始めるのが一般的です。
しかし、どこが秘密で、どこが公知?と、わからないことだらけかと存じます。
まずは、きらぼしコンサルティングまでお気軽にお問い合わせください。
特許庁出向者がいますので簡単な質問にはお答えできますし(無料)、案件のレベルに応じて専門箇所におつなぎいたします。
また、経済産業省およびその管轄の独法において様々な資料が出ており、無料の相談窓口もあります。ぜひご利用ください。
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/1706blueppt.pdf
https://www.inpit.go.jp/katsuyo/tradesecret/madoguchi.html
執筆者
林 達也
経済産業省特許庁に入庁。2015年より中小企業庁海外展開支援室に出向。TPP締結に向けた情勢の中で中小企業の海外展開のサポートに従事。特許庁では中小企業支援担当として、企業に知財の気づき、知財戦略構築支援を実施。現在、きらぼしコンサルティングに出向し、企業向けコンサルティング業務に従事。お笑い好き。目指せM-1一回戦突破!
昨今、様々なニュースなどで「営業秘密」の漏洩が話題になっております。
「営業秘密」と聞くと、トム・クルーズの『ミッションインポッシブル』よろしく、産業スパイの活躍を想像してしまいますが、現実はもっと身近で、退職者が転職先で漏洩したり、経営者が展示会でポロっと……というようなケースが大半です。