ビジネスとして取り組むSDGs~新たな成長機会を創出するSDGs経営とは~
SDGs(世界が達成すべき持続可能な開発目標)がビジネスに浸透し始めています。
本コラムでは、SDGsとビジネスのつながりを具体的にイメージできるよう、市場規模や他社の動向と共に、SDGsをビジネスとして取り組み、展開する方法を紹介します。
ビジネスチャンスとしてのSDGs
SDGsの市場規模について
SDGsに取り組むことで同じ課題を解決したい行政・NPO・教育機関といった、これまで関わりのなかったパートナーとのつながりが生まれることから、新たな事業を創出する機会につながることが考えられます。
2018年に経済産業省が発表した資料によると、SDGsは年間最大12兆ドル(約1257兆円)の事業機会と3億8000万人の雇用を創出する可能性があるとされており、各目標の市場規模は小さいもので70兆円、大きいもので800兆円にも上ります。
出典:経済産業省「事務局説明資料(2018年11月)」
これを契機に、さまざまな企業がSDGsに注目し、新たなビジネス展開の可能性を模索し始めました。
世界や日本では、どのような企業がSDGsに取り組んでいるのか
注目を集めるSDGsですが、実際にはどのような企業がSDGsに取り組んでいるのでしょうか。
例年、世界経済フォーラム(World Economic Forum)の年次総会では、環境・社会・ガバナンスなどの観点から、世界で最も持続可能性の高い100社が選出されております。ここで発表された結果は、カナダの出版社Corporate Knights社によって「世界で最も持続可能な企業100社」として発表されており、最新版は2021年1月25日に発表されております。
また、外務省が公開している取組事例では、大手企業だけではなく、中小企業を含む約250社もの企業が取り組んでいることがわかります。いまやSDGsは大企業だけでなく、中小企業も多く参入している領域であることがわかります。
出典:外務省「JAPAN SDGs Action Platform」
以上のことから、SDGsが優れたビジネスチャンスであることがわかります。また、SDGsの取り組み自体にも企業にとって様々なメリットがあります。詳細は次の章にて紹介します。
SDGsの取り組みが企業にもたらす影響とは
先述したように、さまざまな企業がSDGsに取り組んでいます。以下では企業がSDGsに取り組むことで得られるメリットについて紹介します。
取引先との関係性向上
SDGsへの取り組みは企業の生存戦略につながります。昨今では大手企業を中心にサプライヤーがSDGsに配慮しているかを確認する動きが出てきています。例えば、スマートフォンやタブレットなどを販売している某大手企業では、2030年までにサプライチェーンの100%カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量のネットゼロ化)達成を掲げており、サプライヤーへの理解・協力を求めております。
これらの動きはSDGsの拡大と共に広がっていくことが予想され、SDGsに積極的に取り組んでいる企業と、SDGsを重視していない企業では取引先との関係性に大きな差が生まれてしまう可能性があります。
将来的なキャッシュフローの増強
SDGsの17の開発目標には環境問題への対策も多く含まれていることから、企業が環境や社会に配慮しCSRを果たすことは、近年拡大しているESG投資と資金調達の観点からも非常に有利となります。
また、銀行の中にはSDGsへ取り組む企業へ向けた融資制度を設けているケースもあるため、SDGsへの取り組みは将来的なキャッシュフローの増強にもつながります。
企業のブランディングにもつながる
SDGsには世界が理想の姿となれるような目標が設定されています。積極的に取り組むことで、自社以外の消費者や取引先などでの評価が高まり、良いイメージのブランディングにつながります。
中小企業にとっては、優秀な人材が集まりやすく、人手が不足する時代においても採用活動を有利に進めることが可能になります。 SDGsの目標の一つとして「あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現」を掲げておりますが、女子学生の多くは職場環境や男女比率などを意識した企業研究を実施しており、学生からも選ばれやすいと考えられます。実際に、キャリタス就活の「女子学生の就職活動に関するアンケート調査(2020年3月)」 によると、女子学生が企業研究で意識したこととして、残業や休日出勤の実態(62.7%)が最も多く、次いで「女性社員の比率」(55.0%)、「育児休業の取得率」(51.7%)、「多様な働き方の制度(在宅勤務、フレックスなど)」(50.3%)であるとの調査結果も出ています。
出典:株式会社ディスコ キャリタスリサーチ「女子学生の就職活動に関するアンケート調査(2020年3月)」
また、社会に良い取り組み(人権の尊重・格差の是正など)を行う企業であれば、社員の働きがいや生産性の向上にもつながり、企業の競争力強化にもつながることが考えられます。
以上のことから、SDGsを企業が取り組むことにより、さまざまな面でメリットがあることがわかります。しかし、企業がSDGsに取り組むためには具体的に何を行えばよいのでしょうか。詳細は次の章にて紹介します。
SDGsをビジネスとして取り組み、展開する方法
先述したように、企業にとってSDGsは優れたビジネスチャンスであり、取り組み自体にもさまざまなメリットがあります。以下では企業がSDGsに取り組む方法について紹介します。
SDGsに関する情報収集の方法
SDGsをビジネスとして実現するためにも、まずはセミナーやワークショップなどでの情報収集をお勧めいたします。
弊社、きらぼしコンサルティングでも講演会を開催しており、3/19には講師に新価値創造研究所代表 橋本元司氏をお招きし、経営者のための「SDGs成長経営セミナー」の開催いたしました。
セミナーでは、中小企業が取り残されないためにはどうしたらよいのか?その本質と成長経営への道筋・秘訣を実例とともにご紹介しております。
今後もセミナーを開催する場合はメールにて告知いたしますので、気になる方は下記からメールマガジン登録をお願いいたします。
また、環境省では中小規模の企業・事業者を対象とする「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド」が公開されておりますので、こちらも併せてお役立てください。
きらぼしコンサルティングによる「きらぼしSDGs成長経営支援サービス」とは
東京きらぼしフィナンシャルグループは、「首都圏における中小企業と個人のお客さまのための金融グループとして、総合金融サービスを通じて、地域社会の発展に貢献します。」という経営理念のもと、企業活動を通じて国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)に取組むことで、「持続可能な社会の実現と社会との共通価値の創造」に努めております。
弊社の「きらぼしSDGs成長経営支援サービス」では、「本業(経済価値)」と「SDGs(社会価値)」を統合して、社会満足経営に進化することで企業収益向上を支援いたします。さまざまなライフステージにある企業の事業の内容や成長可能性などの事業性を適切に理解した上で、それを踏まえたソリューションを検討・提供し、きらぼしグループ一体で必要な支援を行ってまいります。
SDGsを取り組んだビジネスの展開を検討されている方は、是非ご相談ください。
SDGs(持続可能な開発目標)は貧困や飢餓を無くすこと、産業と技術革新の基盤をつくることなど、17のゴール・169のターゲットから構成されています。2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すために掲げられた国際目標となっており、発展途上国だけではなく、先進国を含む全世界で共通して取り組むべき内容です。 このSDGsに関する取り組みを実施する企業が増える中、2020年12月には政府から「SDGsアクションプラン2021」が発表されました。資料内ではSDGsの達成に向けた優先課題として以下の8つが掲げられました。 ① あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現 ② 健康・長寿の達成 ③ 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション ④ 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備 ⑤ 省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会 ⑥ 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全 ⑦ 平和と安全・安心社会の実現 ⑧ SDGs 実施推進の体制と手段 これらの8つの優先課題の中で、予算化された総額は令和3年度当初予算政府案(12月21日閣議決定)及び令和2年度補正予算(12月15日閣議決定)で約6.5兆円にも上り、政府は上記課題の達成を特に重視していることが伺えます。 これからSDGsを始める際には優先課題として設定された8分野から取り組むことでよりビジネスチャンスへとつながりやすいと考えられます。