事業のV字回復めざして
指示待ち組織を立てなおす。
株式会社池田計器製作所
社員の皆様と。代表取締役の新保剛様に語っていただきました。
社内の考え方を180度転換する
社員自ら課題を解決するチーム活動がスタート
そういったわけで、工場を移転したこともあり、経営支援は社内の体質改善から始まりました。
最初に提案されたのは、朝礼の実施。毎朝同じ場所、同じ時間に社員が集まり、話をします。これが意外にも効果が大きく、お互いの顔が見えるようになって意思の疎通が格段に向上しました。
社員一人ひとりが自ら考える癖をつけるため、課題を改善するチーム活動もスタートさせました。テーマは「原価管理」「各工程の見える化」「在庫の見える化」「多能工化」「図面・データベースの整備」「新規顧客開拓」「新規年度販売計画作成」など。いずれかに社員全員が参加しています。まずは手間なく、わかりやすい方法でやろうと、ホワイトボードやカードを活用して管理しています。
コンサルの担当者はそんな社員たちの名前と顔を覚えてチームミーティングの場にもどんどん入ってくれました。
ミーティングを重ねるうちにさまざまな気づきがあったのでしょう、各チームとも仲間の意見をまとめてアウトプットできるようになっていきました。
コミュニケーションができず在庫管理もなおざり
180度変えようと思った問題点のひとつは、究極の指示待ち会社だったことです。
といいますのも、主なエンドユーザーが官公庁のうえ、製品の規格が定められているため大胆な開発はできません。しかも代理店が提示するスケジュールにあわせて生産していれば黙っていても発注が来ますから、決められたものを決められた数だけ淡々と作っていればよかったのです。
さらに大きな課題はコミュニケーションでした。社員が20〜30人程度にもかかわらず、当時の工場は広さが1,600㎡もあり、ひとつのフロアに社員が1人か2人といった状態でした。当然、会話もできませんし、打ち合わせをしたくてもオフィスから現場まで2〜3分かかってしまう。別の製造部隊が忙しくてもわからない。こちらでは残業が続いているのにあちらは定時で帰るといった作業の偏りも発生しました。
部品の在庫管理も統一されておらず、同じものを個別に発注して余らせる。今どれだけあるかも把握していない。管理職も含めコストへの意識がなかったんですね。
社員の能力が低いわけではないんです。むしろ、穏やかで真面目。ものづくり以外の経験が少ないまま、長年の慣習として定着してしまいました。きらぼしコンサルティングの担当者には、事業計画の実行支援として「会社の弱点を叩きなおしてくれ」とお願いしました。
主力事業のアジア進出も視野に
最近は新たに「新製品開発」のチームが始動。設計を変更すれば現行製品の課題を解決できるのではと、社員自ら立ち上げたプロジェクトです。まだまだ試行錯誤していますが、自走する姿を見守っているところです。努力する社員のために、人事評価制度の構築もきらぼしコンサルティングにオーダーしました。
うれしいことに、きらぼしグループは海外進出もサポートしてくれます。私たちもタイの日系法人とのご縁をいただきました。パートナーシップを結んで、アジアへの事業展開や製品の逆輸入などを検討しています。東南アジアも自然災害の多い地域ですから、現地のマーケットに入りこむ余地は大いにあると期待しています。先方のプレゼンテーションを拝見して、生産力の高い設備の映像にワクワクしました。当社のような小規模の会社が海外展開なんて夢のようですが、がぜん現実味を帯びてきました。めざすビジョンがあると現場のモチベーションも上がりますよね。今後の雇用対策や事業継続のためにも、より魅力あふれる会社に成長させたいと思っています。
型にはまらないコンサルスタイルに好感
経営支援が一段落した頃に匿名で社内アンケートをとったところ、「風通しがよくなった」「会社の成長の役に立ちたい」といったポジティブな意見が目立ちました。費用対効果も含めて、手厚いサポートに満足しています。
きらぼしコンサルティングは、既成パッケージ型の提案ではなく、こちらの要望や内情に沿った形で柔軟に対応してくれます。今回はものづくりのプロフェッショナルも交えてアドバイスをいただけました。懐に深く入ってくるコンサルスタイルも当社には合っていたのかな。ひとつのチームとして一緒に活動していた気分です。
経営幹部を育成する「きらぼしトップスクール」にも参加しました。同期メンバーに恵まれ、そのうち1社とは新たなビジネスも始まりました。きらぼしコンサルティングは社員のみならず私自身のモチベーションも高めてくれています。
担当コンサルタント(若林・川崎)より
中小企業の経営支援は現場で膝を突き合わせて対話することがなにより大切です。『困りごとがあればきらぼしに相談しよう』と思っていただけたらうれしいですね。必要に応じて税理士や社労士などの専門職もご紹介できます。オールきらぼしでご対応しますよ。
株式会社池田計器製作所
設立:1928年9月
従業員数:22名
事業内容:気象観測機器ならびに水文観測機器の開発・製造・販売
取引支店:板橋本町支店
https://ikeda-keiki.co.jp/
雨量計をはじめとする気象観測・水文観測用のシステムメーカーとして約100年におよぶ歴史と実績をもった企業です。私は中途入社ですが2019年に現職に就任しました。
実はその直前まで業績がかなり悪化しており、当時のメインバンクから融資した資金をいったん清算してほしいとまでいわれました。創業家からも工場と土地を売却し、そのお金を分配して解散しようと意見が出たほどです。そのとき「やり方次第で、培った技術を今後も活かせるはず」と、ストップをかけたのが自分です。代表になっての第一声は「これまでと同じような舵取りをしていたら同じ結果しか生まれない。考え方を180度変えよう」でした。
かっこよく啖呵を切った以上しっかりした経営計画を立てなければ。以前は行き当たりばったりの経営でしたから、事業計画書を作成したり経営予算を立てたりといったことができていませんでした。そこで新たにメインバンクとなったきらぼし銀行の系列であるきらぼしコンサルティングに相談。インタビューをもとに5年間の中期経営計画を作成していただくことに。その際に当社の内情を整理していただき、課題が次々と顕在化しました。