本当の最適化とは?
経営課題から挑む生産管理システムの更新
株式会社日興製作所
代表取締役社長の久米喬之様に語っていただきました。
主力工場での耐用年数切れ
高額な更新費用に困惑
ケーブル・ハーネスや基板の加工、組立、試作を行う会社です。長きにわたり大手情報通信機器メーカー様から当該指定企業としてご愛顧頂く等、ものづくり企業として活動してまいりました。
創業したのは祖父です。2021年の9月に私が4代目社長に就任しました。その際に、主力工場の基幹システムがまもなく更新時期を迎えると知りました。調べてみると、更新だけで導入時と同程度の費用がかかるとの事がわかりました。思った以上に高額ですし、導入時とはビジネスの状況も異なるため課題も感じていました。ほかのベンダーさんにも尋ねてみたものの「うちの製品はここがいいですよ」というPRばかり。うちには専門部署もありませんし、今後の当社にとって本当に最適なシステムがどんなものか、皆目見当がつかないんです。
幸いなことに、おつきあいを始めたばかりのきらぼし銀行さんからDXコンサルティングの紹介を受けました。失礼ながら銀行さんといえばお金の話ばかりというイメージがあったのですが、さまざまな提案や情報とともに「一緒に頑張ってみませんか」と親身に声をかけていただきました。ありがたいな、期待していいかなと、コンサルをお願いすることにしました。
中立な立場で選択肢を提示
経営改革のパートナーに
やってきたのは、きらぼしコンサルティングのITコーディネーターを務めるコンサルタント、梶原さん。これは一番印象に残っている言葉でもあるのですが、すぐにでもベンダーを検討しないとまずいのではと焦っていた私に、梶原さんは「急がば回れをやりましょう」と言って、じっくり話を聞いてくれました。
会話してみると当社には課題が山積していました。まず社長になりたての人間がトップダウンで基幹システムを決めてしまうのは、私自身、抵抗がありました。現場との乖離も怖いですしね。かといって現場に丸投げしてしまうと部分最適に陥る恐れがあります。世の中の移り変わりの早さによって、受注環境も大きく変化していました。新規顧客の開拓を進めていく中で、お取引先様ごとの文化の違いにより、「多品種」「少量」「短納期」といった当社のモットーが達成できない場面が増えるといった課題が出てきました。
中長期的視野で会社を軌道にのせるには、協力会社さんのお力添えなしにはものづくりが継続できないとも考えていました。散らばっているノウハウを統合し、セキュリティや技術継承、高齢化対策にも配慮しながら、社員や協力会社の皆さんに、より効率的にものづくりに集中してもらえる環境をつくりたい。あれもこれもと悩んでいたんです。
そんな状況を説明したところ、コンサルタントの梶原さんは「10年前の状況に合わせ、構築したシステムが現状に合わなくなってきたの当然なんです。御社の現在のビジネスモデルや今後のビジョンに合わせて構築しましょう。まだいろいろ考えられる時期。工場の皆さんのご意見・ご要望もいただきながら、ビジネス戦略を固めるところから腰を据えて取り組みます」と提案してくれました。
AかBかを無理やり決めるのでなく、経営課題をもとに中立な立場で選択肢を広げてもらえる。安心感を持ってスタートラインに立てたのを覚えています。
外部の人間を入れたことで
現場の意識も変わる
梶原さんをファシリテーターに、まず東京の本社で経営陣やベテラン社員たちと3か月ほど毎週ディスカッションして全体の大きな方針をまとめていただきました。それを持って、工場でも週に1回ペースでワークショップを実施いただいています。現場としてはお客様のご希望の納期や品質を達成しようと必死にやっている中で、わかっているけど余裕がないとか、こういう順番があるんじゃないかとか、現状の課題やその原因、解決策について忌憚のない声があがったようです。
きらぼしコンサルティングという外部の方が間に入ったことで、多忙な中でもこうした取り組みに参加する雰囲気や習慣が徐々にできてきました。職人気質の社員も多いものですから、パソコンで書類を作成していると「仕事しないで遊んでいるのか」と叱られることも。そんな中で外の人間を招いてスタートしたという特別感から意識が変わり、「この取り組みを続けると働く環境が改善される」と、前向きな気持ちも醸成されたように思います。
それから、他社のノウハウを伝えてもあまり聴いてもらえなかったのが、同じことをきらぼしコンサルティングさんが説明するとみんなの認識が変わる場合も。非常に保守的だった社内のさまざまなハードルを、きらぼしコンサルティングさんを介して容易に越えられるようになりました。
具体的なベンダーの紹介から
資金の支援まで期待値も高く
これからタイムリミットまで約1年です。この秋には基幹システムの仕様に必要なビジネス要件を示したIT戦略書をまとめます。製造業は受注してから納品するまでいろいろな人が関わりますから、その関わりがうまく動くよう全体最適を整えていきます。
そのうえで、今のものと同様にフルカスタマイズで構築するか、世の中に出回っているパッケージソフトを利用するのか。それを使うなら業務プロセスをどのように変えていくのか。諸々をきらぼしコンサルティングさんと一緒に詰めていきます。創業から60年以上にわたって大切にしていたものから、残すもの壊すものの取捨選択も必要でしょう。その孤独で難しい舵取りを専門コンサルタントとともに進めていけることはとても心強いです。
それに、私たちの戦略を深く知っていただいたうえで、適切なベンダーの選定からシステム導入にかかる金融面での相談までお願いできますから。次のステップもおおいに期待しています。
ものづくりのハブ機能を持つ会社へ
ともに飛躍したい
これまでDXといわれても、どこか大企業の話だろうと、自分ごととして捉えていませんでした。コンサルティングを受けてみて、きらぼしコンサルティングは「DXとは経営改革」という視点を持ち、現在の経営課題を明らかにしながら多角度的にサポートしてくれると感じました。実際、人材育成の必要性など思いがけない気づきを得られました。事業を承継したばかりの私たち世代のチャレンジもしっかり応援してくれるという印象です。
日興製作所は100年企業めざしてこれからもものづくりを続けていきます。老舗のメーカーとして、ご相談いただければなにかしらの解をご提供できるような、ものづくりの相談役になりたいと夢を膨らませています。そのためにも現在手がけている主力のケーブル・基板の加工や製造で強みを発揮していかなければ。きらぼしコンサルティングさんと想いをひとつにして歩んでいきたいですね。
担当コンサルタント(梶原)より
「いきなり手段であるシステムの話から取りかかるお客様が多い中、久米社長の慧眼と実行力に敬意を表します。今回のコンサルティングは、東京都中小企業振興公社の事業承継支援助成金申請のお手伝いから行いました。きらぼしコンサルティングは各種補助金の指定金融機関でもありますので、ITやDX周辺の負担軽減についても気軽にご相談いただけます」
株式会社日興製作所