日本初のベトナム精白米の輸入。
現地を知り尽くした担当者との二人三脚が成功の礎に。

三冨実業株式会社

執行役員・第一営業部本部長の山口朝和様に語っていただきました。右が取締役会長の冨成稔様。

海外事業コンサルティング 解決策

日本のベトナムコミュニティ
43万人のニーズに応えて発進

 三冨実業は豆類、米穀類の輸入と国内卸販売をしています。産地や生産者と直接契約を結び、安定した品質と価格でニーズにお応えしています。

 

 いま日本に在留されている外国人のうち、最も多いのは中国の方。では2番目に多い国はどこだと思いますか?実はベトナムなんです。約43万3000人におよびます※1。これまで各地の技能実習生などから「ふるさとの米を食べたい」という声をたくさんいただいていました。もともとベトナムは世界で5本の指に入る米の生産国ですし、輸出量も世界第2位※2。「日本への安定供給も可能なはず」と、輸入について真剣に考え始めたとき、きらぼし銀行の担当者よりきらぼし銀行はベトナムのホーチミンにも拠点があると伺いました。試しに相談したところ、グループのきらぼしコンサルティングが手がける「海外事業コンサルティング」を紹介されました。担当となったのはベトナム出身のコンサルタント。彼はベトナム語、日本語、英語を操るトリリンガルで、もちろん現地の文化も知り尽くしています。しかもベトナムの農産物の魅力を発信したいと、日本の大学で農学を修めた熱意の持ち主。さっそく私たちは候補となる米の検討をスタートさせました。

※1 出入国在留管理庁『令和3年末現在における在留外国人数について』

※2 農林水産省『海外食料需給レポート(2021年3月)』

世界に認められた香り米を
日本の食品基準で

 外国から米を輸入する際に最も高いハードルとなるのが日本の食品安全性基準です。残留農薬検査、遺伝子組み換え検査、燻蒸処理、袋の安全性検査、カビ毒検査等々、全て日本が定める検査をクリアしなければ、輸入許可がされません。他社では農薬が検出されて出港した船を戻した例もあったそうです。またベトナム戦争で米軍が撒き散らした枯葉剤の影響が残っているのでは?という風評もありました。そういった事情から、ベトナム米のまとまった数量の輸入はこれまでほとんど行われませんでした。その為、我々が求めていたものは、ベトナムの誰もが知っているメジャーな銘柄米であるだけでなく、日本の厳しい食品安全性基準に合致する品質を担保できるサプライヤーでした。

ベトナムでの現地調査をもとに、きらぼしコンサルティングが白羽の矢を立てたのは、タンロングループが生産する「ST25」。2019 年の世界コメ会議で最優秀賞を受賞したほど高品質の香り米です。これ、ぜひ試してほしいんですが、本当に香ばしくておいしいです。

 タンロングループは1日当たり約1,000tの米を生産できるアジア最大規模の精米工場を持ち、世界標準に沿った設備を構築しています。同社の米「A AN」シリーズはベトナムではたいへんよく知られたブランドでアジア向けの輸出量も多い。タンロンにとっても日本への米の輸出は願ってもない話でした。

SBS(売買同時契約)で輸入
煩雑な条件も4社で乗りこえ

 きらぼしから初めてタンロンを紹介されたのは2021年の3月頃。すぐには契約せず、人体への影響はもちろん、パッケージや燻蒸に使う薬剤などすべての安全性検査を事前に2回実施して、慎重にことを進めていきました。契約の条件も詰めて、契約書にサインする頃には11月になっていましたね。コロナ禍でしたが、きらぼしの担当者が間に入ってくれて、オンラインで毎日のようにタンロンとの意思疎通を図りました。お互い母国語で話せたので、言葉の壁を感じることなく円滑な会話ができたと思います。

 

 日本では外国産米を輸入する場合、関税を払えば自由に輸入することが出来ます。しかしながら高額な関税を支払った外国産米には日本市場での競争力がなくなってしまう為、私達としては、政府が管理するSBS(売買同時契約)スキームを経て輸入を行う事を計画しました。SBS方式(売買同時契約)とは、三冨実業がタンロンから輸入した米を農林水産省が買い入れ、農林水産省が調整金を加算し、それを販売業者に売り渡すもので、売り手と買い手がペアとなって農水省と契約します。販売会社は以前からお取引のあるスパイスハウス社(神奈川県相模原市)。2021年に食用として日本がSBSで輸入した長粒米のうち11.5%を取り扱っている大手の食品卸です。当社とスパイスハウス、タンロン、きらぼしの4社が手を携えて日本初の案件に取り組んだわけです。

 

 タンロンとの契約から農水省の輸入許可が下りるまでは半年かかりました。申請用の安全性検査を合計3回やり、その結果を分厚い報告書にまとめ、納付金や関税といった通関手続きをこなし、煩雑な作業を進めながら、内心ドキドキしていましたね。当社でも1から輸入に携わるのは初めてでしたから。コロナ禍で現地に飛ぶのも難しい時期で、きらぼしコンサルティングさんのサポートが本当にありがたかった。

記念イベントにベトナム大使
日越の交流にも一役

 そしてようやく2022年5月から販売開始。きらぼしはベトナム米の輸入開始を記念したイベントも開催してくれました。場所は東京・港区にあるきらぼし銀行本店です。後援には駐日ベトナム大使館も名を連ね、ヴー・ホン・ナム特命全権大使が来賓として挨拶。当日の様子は大手通信社から配信され、ニュースにもなりました。

 

 おかげさまで初回に輸入した100tの売行きは好調です。ベトナム大使館の周辺や、各地の技能実習生の方々、エスニック料理店や小売店、それからベトナム米になじんできたフィリピン出身の方々にも喜んでいただいています。

 おそらく価格がもう少し軽減できればもっと売れるでしょう。タンロンも新しい精米工場ができたので、弾力的な価格調整ができるものと期待しています。

 2023 年は日越外交関係樹50周年という記念すべき年です。日本とベトナムの架け橋としてお役に立てたらうれしいですね。

他の銘柄米もターゲットに
きらぼしグループの複合力に期待

 今回、きらぼしコンサルティングに情熱を傾けていただいたことがすごく大きかったと思います。エスニック食材のようなニッチな商いに対して、先を読んで前向きに取り組んでくれました。いろいろ困難はありましたが、ビジネスパートナーとして一緒に乗り越えられたと感謝しています。

 

 今後は、ベトナムのよりリーズナブルな精白米についても輸入を検討しようと話しています。もし海外事業コンサルティングに興味を持った方がいれば、私たちが実現したビジネスの経験を喜んで披露します。他の案件の取引先にも「コンサルも銀行取引も含めて、彼らとパートナーを組んで進めてみませんか」と勧めていますよ。百戦錬磨のうちの会長も「きらぼしのコンサルはハンパないよ」と舌を巻いています。

担当コンサルタント(チャン)より

「日本初のベトナム精白米の輸入は日越の交流という意味でも大きな意義があったと思います。きらぼしグループはベトナムと上海にも拠点を持ち、バンキング以外にも幅広い海外事業サポートが可能です。ぜひお気軽にご相談ください」

三冨実業株式会社

設立:1995年3月

従業員数:22名

事業内容:

豆類、米穀類の輸入および国内卸販売

取引支店:日本橋支店

http://www.suntommy.co.jp/

お役立ち資料

【海外】ベトナムの駐在事務所の概要・各種手続きについて

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